100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

高忍日売神社
【たかおしひめじんじゃ】


伊予郡松前(まさき)町徳丸宮浦にある神社。祭神は高忍日売神。天忍人命・天忍日女命・天忍男命を配祀する。式内社。創建年代不明。境内神社には素鵞神社・金刀比羅宮・天満宮・若宮八幡宮・太神宮・七生稲荷神社・奈良原神社・生目八幡宮,境外末社としては中川原の素鵞神社と大間の素鵞神社がある。神武天皇の父鸕鶿草葺不合尊誕生の時,産屋にカニが入り込んで難産となったが,天忍命3神が箒を作りカニをはきよせ,産婆の役を果たしたという伝説から,産婆・乳母の祖神とも箒の神ともいわれる。奈良期には神社の前を三千坊,神社の裏を千坊と呼んで境内は8町歩におよんだという。鎌倉初期には源頼朝が安産・魔よけの神として信仰したという。またこのころ若宮八幡宮を合祀して高忍日売若宮八幡宮とも称したという。南北朝期には河野(土居)通景からも社領寄進があった。戦国期ころから社領を失い,鎌倉期の三斎市にはじまると伝えられる月6度の上市夷子・下市夷子の両市も衰退したという。江戸期には松山藩祈願所・伊予総氏神として藩主の安産除厄・五穀成就・祈雨・祈晴などが行われ,社殿の中に藩主・代官の詰所が残っている。神主には松山藩改社人に任ぜられた者もあった。嘉永3年上棟の松山城天守閣の梁木は当社境内にあった松の巨木を用いたものという。現在当社の祭礼は10月14日の例祭のほか,虫干大祓祭・歳の口明けの神事などが行われている。本殿は流造銅板葺で,所蔵品には古文書・棟札・神楽面などがある。境内には県天然記念物モガシがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7201977