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天赦園
【てんしゃえん】


宇和島市の市街地南西部にある公園。面積1万2,778m(^2)。江戸末期における大名庭池水回遊式庭園として国の名勝に指定されている。この地は海であったが,藩政時代初期に宇和島藩の2代藩主伊達宗利が埋立てて造成した浜御殿の一部で,7代藩主宗紀は,浜御殿の南寄りの一角に,文久2年潜淵館・記念館などをつくり,隠居所とした。時の勘定与力五郎左衛門によって文久3年造園に着工,3年の歳月を経て慶応2年に完成した。天赦園の名は,宗藩の仙台伊達政宗の作詩「馬上少年過 世平白髪多 残躯天所赦 不楽是如何」よりとったもの。潜淵館は明治29年取り除かれたが,記念館は茶屋として残る。庭園の中心の池は,岬・入江・曲浦など屈曲の多い汀線で囲まれ,要所に海石を配置する。その水源は,この地が扇状地の扇端に当たるところから,かつてはその湧水であった。庭内にはクロマツ・クス・ウバメガシ等常緑樹が多いが,伊達家の家紋の「竹に雀」にちなむことと,伊達氏の先祖が藤原氏ということから,特に竹と藤が多く植えられている。庭園全体は鬼ケ城山系を借景としている。また庭園入口には400m(^2)の花菖蒲園がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7202224