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宮浦港
【みやうらこう】


越智(おち)郡大三島町の中央にある港。宮浦本川の河口に位置し,鏡山と薬師山を外郭の岬とし,さらに御串(みくし)山と明日(あけび)の丘陵とに二重に守られた自然の良港で,この入江の奥一帯に大山祇神社の壮大な社殿が営まれている。同社は武門の神・海神として祀られ,伊予水軍の発展により栄え,また三島水軍として多くの城砦を構え,南北朝期に描かれた三島宮古図にも,御串山の両岸には船溜りがあって船が描かれている。奈良期~鎌倉期にかけては入江はもっと深く,「一遍上人絵伝」にも,社前から大船を乗り出す姿が描かれており,字岩崎や才の木付近の地底には港の石段や古井戸の跡があることが知られている。近世の宮浦は,大山祇神社の門前町として発展,入港する船舶や参詣者も多く,例大祭は港付近は満艦飾の漁船で埋まった。参勤交代の際には藩主は寄港し参拝するならわしで,定水主30人も用意されていた。大正元年からは汽船が就航,昭和26年には港務所も完成したが,同46年には物産展示室を持った近代ビルに改築,現在は大型フェリーや水中翼船・高速艇の寄港する観光港となっている。昭和50年度入港船舶は約2万5,000隻・400万t,乗降客は50万人,出入貨物は96万tであった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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