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浅上王子宮
【あさがみおうじぐう】


香美郡香我美町山北の鎌井谷にある神社。旧郷社。祭神は天照大神。上王子・王子権現社とも称した(天正16年大忍荘遠崎ノ村他十四村地検帳・土佐州郡志)。恵日寺山の南麓に位置し,付近を主要県道香北赤岡線が通る。社伝によれば,応永2年に村上雅楽亮泰弘が,王子村の王子権現(現若一王子宮,香我美町徳王子)から勧請したという。「南路志」は熊野権現の勧請と社記を引き,「土佐州郡志」は里人の伝えとして,紀州の村上栄玄ら山伏姿の12人が王子村へ来住し,その後当地へ移った際に権現を勧請したと記す。永禄12年に長宗我部元親らを大檀主として造替された(浅上王子社棟札/蠧簡集)。天正16年の大忍荘遠崎ノ村他十四村地検帳に,カマイ谷村に見える15代の「上王子宮床」をはじめ,遠崎村・惣力村・カマイ谷村・荒木谷村に「上王子神楽田」「上ノ王子七月十三日ノ花テン」などの神事田や「上王子神主給」「上王子別当分」などが見える。別当は岩清水山観足院恵日寺と日和山宝珠院金水寺(ともに現香我美町山北)で,両寺とも真言宗竹林寺(現高知市五台山)の末寺であった(南路志)。江戸期の本社は1間四方,舞殿は9間四方,横殿は2間3間半でともに小枌葺,地下の引受けによる社領1町を有し,享保13年に社地15代を寄進されている(南路志)。土佐8代藩主山内豊敷は,産土神として崇敬し,毎年代参を派遣したといわれる。明治維新後,郷社に列格。毎年11月18日,地元の青年による棒踊り(棒打・棒術とも称す)の奉納がある。正徳の頃より伝えられ,県無形民俗文化財。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7203773