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朝峯神社
【あさみねじんじゃ】


高知市介良(けら)にある神社。延喜式内社。旧郷社。祭神は木花佐久夜姫命・瓊瓊杵命・大山祇命。小富士山(介良山)の西麓に位置する。創祀は未詳。「和名抄」長岡郡条の気良郷に存した。「三代実録」貞観8年6月20日条で従五位下から従五位上に昇叙された「朝岑神」のことと思われ,「延喜式」神名帳長岡郡条に見える「朝峯神社」に比定される。中世には当地の土豪横山氏の崇敬を受け,社殿造営の行われたことが大永7年3月16日と天文16年8月12日銘の棟札より知られる(蠧簡集)。長宗我部氏の進攻により長宗我部氏家臣となったのちも横山氏の崇敬は続き,文禄2年9月に社殿が造替されている(棟札銘/蠧簡集)。天正16年の介良荘地検帳に「朝峯大明神」と記され,舞殿と横殿は各5間2間,馬場を有し,神領も多く所有していたことがわかる。近世になって元文4年10月,公儀御願解の祭礼に伴う社殿修復で神主と西養寺(現廃寺,高知市介良)との間で意見の相違が生じ,西養寺は祭礼に不出仕,棟札も五台山竹林寺(現高知市五台山)が執筆するという出来事があった(南路志)。西養寺は当社の別当であったと思われる。木花佐久夜姫命を祀るところから,古来安産の神とされ,当社の土を産婦が身につければ安産間違いなしとされた。また酒の神としても祀られ,拝殿に酒造家の奉納した絵馬が掛かる。本殿の裏に神体とされる高さ6m余の女陰の形をした岩があり,絶えず水を湧出しているところから,安産と酒の信仰を生んだと思われる。例祭は7月1日と10月20日。10月20日の祭礼には行子(神子)儀礼が行われるが,文化13年に神主野村真福が記した朝峯神社儀式帳草稿や明治初年の儀式次第(いずれも社蔵)と比べると,現在はかなり様相が異なっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7203789