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御田八幡宮
【おんだはちまんぐう】


室戸市吉良川町にある神社。旧郷社。祭神は誉田別尊・神功皇后・比咩神。吉良川八幡宮とも称す。東の川の河口付近,笠木山麓に位置する。創祀未詳。明応5年に大檀那の和食親忠が鳥居を造立し(吉良川村八幡宮棟札/蠧簡集),天文12年・天正13年には大檀那である橘氏によって,社殿および伍所大権現の造立がなされた(吉良川村八幡社棟札/蠧簡集・木屑)。箱蓋裏に銘のある神器は元暦元年に寄付されたという(皆山集)。天正17年の吉良川村地検帳によれば,「ニシナタ」という所に神田・修理田・彼岸田・安居田など7反余がある。別当は八幡山無量寿院神宮寺で,寺地1反22代2歩を有しており,日南東谷の観音堂,朴の木東谷の阿弥陀堂などを管掌していたが,明治初年の神仏分離により廃寺となった。例祭は10月15日。隔年の5月3日に国重要無形民俗文化財の御田祭りが催される。古い田遊系の神事のほかに田楽や猿楽能の古い形を残したもので,社伝によれば,鎌倉初期に始まるといい,一年の御田作事を演劇化したもの。12番の演目中「女猿楽」「三番神・翁」「小林」「地堅め」などは古態の田楽能である。「酒絞り」は醸造中に赤子が生まれるというもので,子授行事として知られ,子授に功験があるという木製の人形を子宝に恵まれぬ婦人たちが拝殿(舞台)にのぼり奪いあう。境内に生育するボウランは亜熱帯から熱帯地方にかけて分布する常緑多年生の着生植物で,県指定の天然記念物。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204757