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鑑雄神社
【かがみおじんじゃ】


室戸市羽根町の戎町にある神社。祭神は岡村十兵衛。国道55号沿いにある羽根八幡宮の隣に位置する。貞享元年に村人救済のため犠牲となった岡村十兵衛を慕い,村人たちが彼の遺骸を羽根八幡宮脇に葬ったことに始まる。十兵衛は土佐郡布師田(現高知市)の出身。土佐藩の下級役人として藩の材木方下役・分一役等を勤めたが,材木方下役の折は藩に多大の林業収益をもたらしている。天和元年安芸郡羽根浦へ分一銀の徴収や米蔵の管理などを担当する分一役として赴任したが,当時羽根浦は数度の洪水のため困窮していたので,十兵衛は材木方下役の経験を生かし,羽根村内黒見御留山の上木の払下げを申請,伐り出した松材・保佐木の収益によって浦人を救った。ところが十兵衛赴任の天和元年から風水害による不作と不漁続きで深刻な飢饉となった。貞享元年十兵衛は御米蔵の米を御救米として支給することを藩に再三要請したが,聴き入れられず,独断で御米蔵を開放し,その責任をとって自刃した。八幡宮脇に埋葬されたあとも村をあげての祭祀が続けられ,幕末には土佐藩主山内豊も墓に詣でた。明治4年鑑雄神社となり,同7年に社殿を造営,現社殿は大正年間暴風雨により倒壊したのち再建されたものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204785