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神奈地祇神社
【かなじぎじんじゃ】


香美郡土佐山田町神通寺にある神社。旧郷社。祭神は加奈知姫(加奈良知姫)。古くは三所大将軍と称した。創祀は未詳であるが,「三代実録」貞観8年8月7日条で正六位上から従五位下に昇叙した「神奈地祇神」のこととするのが一般的である。当地石村郷に隣接する物部郷(現南国市)に物部氏が居住していたのは確実で,饒速日命(物部氏祖)の3世の孫天忍男命の妻賀奈良知姫を神奈地祇神として当地で祀ったものと考えられる(土佐山田町史)。安養寺禾麿の「土佐幽考」に,里人は当社祭神を賀奈知姫としていたという。三所大将軍と称するようになった時期は不明であるが,「南路志」は「三所大将軍本社大願主大中臣左衛門尉道世」とある無紀年の棟札を挙げている。大中臣道世は戦国期の当地楠目城主山田氏のことで,その崇敬を受けたと考えられる。「南路志」に「三所大将軍〈若一王子・天満天神〉相殿〈西宮〉」とあるほか,慶長19年~寛保元年の11枚の棟札はいずれも三所大将軍と記しており(香美郡町村誌岩村),近世には三所大将軍が一般的呼称であった。なお天正16年の岩村郷地検帳に見える「西宮」は「南路志」の「相殿〈西宮〉」のことと考えられ,宮床5代,3つの社殿,5間の舞殿,ほかに9代の馬場があった。近世には社地13代,社領8反を有し,9月9日に祭礼が行われた(南路志)。明治維新後,郷社に列格。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204920