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熊野神社
【くまのじんじゃ】


安芸郡馬路(うまじ)村馬路にある神社。旧郷社。祭神は伊弉諾命・伊弉冊命・平重盛。相殿に山祇神社・地主神社を祀る。十三体妙見(土佐州郡志)・十三所妙見大権現(南路志)とも称した。祭礼が11月の酉申の日にあったため,酉申さまとも呼ばれる。安田川左岸の山麓に位置する。文治2年平重盛の家臣大野源太左衛門が紀伊国の熊野新宮から勧請したと伝えられ,馬路・相那・土川・中川・川平・東川6か村の惣社であった(南路志)。土佐国への熊野修験の伝来は平安後期以降であるが,当社も熊野信仰の当地への普及を示す。永正16年・永禄6年・慶長3年の棟札があり(蠧簡集・木屑),社殿の造替がわかる。永禄6年のものに「本願神主正吉金林寺住持福首同施主面々」とあり,金林寺(現馬路村馬路)とのかかわりが知られる。慶長3年の造替は安田郷の領主安田弥次郎らによって行われた。天正15年の安田荘地検帳に,妙見神田・神田・牛王神田などが見え,50代余の存在が知られるが,その後社領神田は元和3年以来破損されて川になったという(南路志)。江戸期の社地は20間四方であった(同前)。明治2年に熊野神社と改名し,現在に至る。昭和になって厨子中の神体を調べたところ,総高59.6cmの突線鈕二式六区画袈裟文銅鐸(三遠・近畿折衷鐸)が発見された。その状態から出土品と考えられる。弥生時代後期のもので,畿内から土佐へ移入されたのであろう。祭礼は7月20日・12月6日。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7205441