100辞書・辞典一括検索

JLogos

50

在所村
【ざいしょむら】


(近代)明治22年~昭和36年の香美郡の自治体名。物部川中流域に位置する。川ノ内・谷相・中谷・横谷・朴木・大束・猪野々・日比原・永瀬・清爪・蕨野・日浦古味・梅之窪・白石・長野・禰須・大井平の17か村が合併して成立。旧村名を継承した17大字を編成。役場を白石に置いた。村名は,中央にそびえる霊山御在所山の名にちなむ(香北町史)。明治24年の戸数1,075・人口4,577(男2,472・女2,105),厩9・船17。明治末期,在所橋の上の曲りから猪野々の学校までの間および永野~谷相間にも村道が開設された。同41年村役場の改築に着手し,当時県下に類例のない洋館の新庁舎を永野に完成。大正10年代には永野から猪野々までの村道を郡道に編入し,さらに猪野々から上韮生(かみにろう)村の柳瀬を経て槙山村大栃まで道路を延長し,在所橋を架設して根須と北岸を道路で結ぶ交通の便を図った。昭和初期に谷相・梅久保・大井平・清爪・猪野々・永瀬・白石・根津・永野にあった隔離病舎を廃止し,永野に全村的な病舎を新築した。また村道谷相線を改良して横谷へ延長,同8年猪野々~永瀬間に橋を架けて南北の往来を便利にし,同10年代各集落に耕地整理組合を設け主要水路をコンクリートに改修,また南岸線を拡張した。同10年香陽バスを買収し,山田~大栃間に省営バスが運行された。昭和7年頃の資料によれば,面積4.41方里,田335町・畑885町,戸数1,025・人口4,312,生産総額39万5,307円うち農産27万269円(米7万3,595円)・林産3万3,242円・工産7万5,843円,工産中約1万円は鋤・鍬などの鍛工品であるという(県誌)。同11年の生産総額60万2,242円うち農産42万7,417円・畜産2万1,747円・林産12万4,009円・水産250円・工産2万8,819円,主要生産品は繭・米・木材(経済一覧)。同15年紀元2600年記念事業として基本財産造成のため川ノ内に約15町の村有林を設定して植林を行った。この事業は同30年までに川ノ内に約20町と大束に10町余の造林を完了した。昭和21年には食糧事情の緩和と就業対策の1つとして国の方針に基づき東山・川ノ内・猪野々・大束・朴ノ木に開拓地を設け,希望者を入植させた。同22年永野および猪野々に中学校を設置し,同25~29年にかけ谷相・猪野々・府内・在所各中学校などの新改築を行った。同26年谷相の一部から東山が起立。同年美良布~永野間に国鉄バス運行,同28年には猪野々まで延長された。昭和25年永瀬ダム,翌26年には吉野ダムの工事に着手した。同28年村内私設電話架設。同30年第1次・第2次の2回にわたる谷相・猪野々に各5戸,永野14戸・根須6戸の公営住宅の建設が完了した。同31年轟の滝を含む1,419haが奥物部県立自然公園に指定され,在所村観光協会も結成,在所橋付近に樽の家ができた。高知農林水産統計年報(昭和33年版)によれば,水稲作付面積3,131町,収穫面積3,131町,推定反収362kg,推定実収高1,133t,平年反収293kg。陸稲作付面積2町,収穫面積2町,推定反収214kg,平年反収171kg。小麦作付面積161町,立毛皆無面積1町,収穫面積160町,推定反収168kg,推定実収高27t,平年反収189kg。大麦はなく,裸麦作付面積1,108町,収穫面積1,108町,推定反収199kg,推定実収高221t,平年反収204kg。甘藷作付面積451町,推定反収1,490kg,推定実収高672t,平年反収1,385kg。春植ジャガイモ作付面積49町,収穫面積49町,推定反収904kg,推定実収高44t,平年反収941kg。養蚕の総収繭量は掃立卵量総数1,101.6箱,収繭量総数3万3,273kg。養蚕飼育戸数は,春蚕470戸,夏秋蚕前期228戸・後期456戸,夏秋蚕実数488戸,年間実数490戸。桑園栽培面積485反。林野面積は,山林のうち樹林地に針葉樹林の人工林3,300町・同天然林130町,広葉樹林の天然林809町,針広混交林の人工林30町・同天然林827町で,山林5,257町の内訳は,樹林地における人工林3,330町・天然林1,766町,その他竹林23町,伐採跡地および災害跡地138町。原野は32町。昭和32年在所中学校改築竣工。同年第3回農林祭開催。同33年府内小学校・双葉保育園改築竣工。同年猪野々~大栃間,および永瀬~大栃間の国鉄バス・土佐電鉄バス乗入れ開通式開催。集落放送設備が3か所完成,在所村有村内電話第2期工事および村道谷相線第2期改良工事完了。もとの建設省永瀬ダム建設事務所を改修して永瀬に永瀬山の家・青少年の家を開設。同35年猪野々・柚ノ木の自家発電所を廃止し,柚ノ木・大久保地区および権束の無電灯地区5戸に四国電力の配電を開始。同年根須簡易水道・梅久保農道・村道谷相線改良工事年度分工事竣工。また54戸に柚ノ木電灯施設工事竣工。さらに村消防団猪野々分団設立。同36年香北町の一部となり,村制時の18大字は同町の大字に継承。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7205769