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下田港
【しもだこう】


中村市南東部にある地方港湾。四万十(しまんと)川(渡川)河口左岸に位置する。河口付近の基盤岩石は第三紀始新世清水層。古来,幡多地方と堺,大坂,江戸,高知方面との物資流通の拠点として繁栄してきた。特に15世紀半ば,一条氏が下向,居館して以後,幡多郡の中心地として発展することになった中村の外港として,時には対明貿易の南海路の重要な寄港地として知られた。近世以降,昭和初頭まで四万十川河川交通と海運の結節点として発展,材木・薪炭を中心に問屋も集中した。川幅は河口付近で約1km,上流の角崎付近でも約300mあり,溺谷地形を示している。上流からの流送土砂が多く,堆積層は厚い。河口に幅120~150m,平均高3~4mの砂嘴が発達する。砂嘴の消長により河口の深さは一定せず,船舶の出入りに障害があった。土佐藩家老の野中兼山はこの克服のため,寛文2年河口を経ずして,直接外海に通じるように内港から子(ね)の首に運河の開削を試みたが,工事半ばで失脚し,未完成に終わった。明治15年頃までは,どうにか水深を保ち,100t前後の船舶は岸壁に係留できた。それ以後は流送土砂の堆積と浚渫を繰り返して航路を維持した。大正11年県費支弁港に編入されたが,港口埋没,背後地域の浸水被害に悩まされた。昭和39年導流堤が完成し,同40年から内港の建設も行われたが,背後地の浸水被害は完全に解決されたわけではない。一方,背後地は水資源・土地に恵まれ,四国南西地域開発計画による工業開発の可能性が高く,近年,この地域のもつ重要性が着目され,地域開発の拠点港の役割を担うべく整備が進められている。係留施設は水深4.5m,物揚場延長貨物用1,138m・33バース,漁船用1,032m・44バース,岸壁300m・5バース。700t級の船舶が接岸でき,砂・砂利・原木・木製品・チップ・セメント・重油などの貨物が取り扱われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7206046