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椙本神社
【すぎもとじんじゃ】


吾川(あがわ)郡伊野町の大国町にある神社。旧県社。祭神は大国主命・素盞嗚命・奇稲田姫命。仁淀川の左岸にあり,伊野の大国様と呼ばれ,財福の神大黒天として広く信仰されている。社伝によれば,大和国三輪から神像を奉じて吉野川をさかのぼって伊予国東川の山中に至り,その後仁淀川の洪水によって神体が現社地の東北の加治屋谷に流れ着き,それを元慶8年現社地に遷座したのに始まるという。一説に三輪から杉本某が直接神像を奉遷したともいう(南路志)。弘長3年八角形の神輿が藤原助影によって寄進され,銘文には「椙本大明神」とある(拾遺)。この神輿は当社に伝存して,八角形漆塗神輿として国重文に指定されている。制作当初のものは隅木と軒の一部,柱桁欄間の横連子および隅木鼻の青銅製の小鳥,棟の鳳凰などで,ほかは墨書銘によれば元禄年間と享保20年に修理したもの。もとは白木であったが,享保の修理で漆塗となったと思われる。この2度の修理でかなり形を損じたが,当初の部分はいずれも鎌倉期の原形を伝え,特に鳳凰は全国でも類例の少ない秀作とされる。文明19年銘の鰐口があった(古文叢)。天正16年の弘岡分伊野村地検帳に杉本宮床45代があり,ほかに種々の神田の記載が見られる。慶長2年の大野郷伊野村地検帳でも同様であるが,「神主俊長」「杉本神主治部大夫」の名が見える。慶長9年山内一豊参詣の折,籾5俵が奉納され,以後正米2石1斗が下賜された(南路志)。昭和9年県社に列格,例祭は11月22日で神輿渡御がある。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7206317