宿毛県立自然公園
【すくもけんりつしぜんこうえん】

宿毛市にある県立自然公園。区域は宿毛市の宿毛湾岸一帯および松田川流域の井出渓谷，西谷山などの飛地からなる。面積233ha。沈降海岸の落ち着いた景観を展開する小筑紫湾や大島，咸陽島など宿毛湾一帯は昭和31年，宿毛湾県立公園として指定を受けた。その後，条例改正により，松田川流域の井出や寒蘭自生地で知られる西谷山市有林などが加えられ，昭和42年３月31日宿毛県立自然公園に名称および区域変更された。宿毛湾はリアス式海岸で，太平洋側の隆起海岸の雄大さとは異なった，静かな落ち着いた雰囲気を有している。特に大島，咸陽島のかなた豊後水道への落日の景観で知られる。海岸景観だけでなく，井出渓谷の花崗岩床にできた甌穴群の奇観，西谷寒蘭の自生地など変化に富んだ，貴重な景勝地である。宿毛湾岸は冬季，北西の季節風は強いが，気候は全体に温暖，年平均気温も16℃を超え，ほとんど降霜をみない。大島ではアコウ・ハカマカズラなど亜熱帯樹が露地で育ち，植物園・水族館・国民宿舎などの施設が整っている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7206323