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田野八幡宮
【たのはちまんぐう】


安芸郡田野町の大野にある神社。旧郷社。祭神は応神天皇・神功皇后・高良玉垂命。国道55号の東側で大野への登り口付近に位置する。社記によると当地の土豪大野豊前守が戦国初期に勧請,いつの頃か社殿が焼亡したという(南路志)。天正17年の田野荘地検帳によると「ハマシ(八幡カ)馬場共」宮床36代のほか,「八幡八月十五日キヨウシンテン」「八幡十月出雲へ之出立田」など多くの神事田を有していた。同地検帳で10代の堂床を含め31代を地蔵堂寺中として充てられているのは別当寺の西福寺(真言宗醍醐派,現田野町田野)で,金林山寿命院と号し,金剛頂寺(現室戸市元)の末。当社創建の頃,すでに存在していたらしい。地蔵堂に,田野浦の漁師が網にかけて引き上げた丈六の地蔵尊を本尊として安置するが,この本尊のおかげで当地は100年余り火災がなかったといわれる(南路志)。江戸期は社領2反のほか,地下の寄付による田1反28代を有し,また各家の祭り神を本社脇の小社で祀った(同前)。明治初期に郷社に列格。現社殿は安政4年の建築。明治元年に豪商吉屋茂左衛門が寄進した長さ2.34m,幅50cm,高さ40cmの五百石船の模型がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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