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南国市
【なんこくし】


(近代)昭和34年~現在の自治体名。香長平野および北部の笹ケ峰に続く丘陵・山間部に位置する。東端を物部川が流れ,南は土佐湾に面する。昭和34年10月1日長岡郡の後免町・岡豊(おこう)村・香長村・野田村と介良(けら)村の一部および香美郡岩村が合併して成立。後免町の大字なしの地域を後免町,介良村の一部を大字伊達野とし,合併各町村の旧大字を継承。同年10月7日,旧岩村の大字包末(かのすえ)・堀ノ内・金地・福船を除く地域は土佐山田町に編入され,1町63大字となる。役場は,はじめ東崎の元地方事務所跡に置かれ,昭和47年大埇(おおそね)に移転。支所は領石・三和・十市・岡豊の4か所に設置された。成立当時の広さは東西13km・南北23km,面積126.09km(^2)。自治体名は,気候が温暖,大気が澄み,住民の気質明朗で,将来の可能性を期待して名付けられた。高知市のベッドタウンとして発展し,世帯数・人口は,昭和35年1万188・4万1,798,同45年1万2,351・4万2,676,同57年1万4,779・4万6,186と増加した。昭和55年の人口増加率は4.7%で県平均の2.8%を大きく上回り最高となった。市東南部の高知空港は旧海軍航空基地で,昭和38年1,500mの滑走路をもつ第2種空港に指定され,利用者は,同46年61万4,000人,同56年118万人に上り,年間利用率84.3%に達した(高知空港事務所調)。同58年末には滑走路が2,000m,面積も37万m(^2)から120万m(^2)に拡大され,東京・大阪へのジェット機の運行が開始され,福岡・名古屋・宮崎・鹿児島とも直接連絡するようになった。さらに国道32号・55号・195号の陸上輸送施設と相まって,経済活性化地域として,臨空港型産業の振興に資しつつある。反面,土地と生業が失われた田村地区農民を中心に,環境を守ろうとする周辺住民の反対運動も起きている。また空港拡張工事に伴い区域内の遺跡発掘調査が行われ,弥生初期の水田跡184筆,人足跡,全国的にも稀な石刀など100万点が出土し,その遺跡の一部20m(^2)の地盤をそのままの姿で切り取り,他所に移す画期的な工事を行い,現在保存されている。市域は我国水稲二期作地北限としての名を得てきたが,短期間栽培に伴う陽光の不足,連続栽培による地力の減退などから,米質の低下をきたし,昭和36年の二期作面積2,029haを最高に,同50年にはわずか360haに減少した(南国市史)。現在ではほとんど皆無となる。目下脚光を浴びているのは大型施設園芸で,密度の高い経営が行われている。昭和40年頃までナス・キュウリに重点をおいた作物型から,同50年代にはピーマンを中心に,近年ではピーマン・シシトウ・キュウリ・ナスなど作物複合型に変貌してきた。施設園芸作付面積・生産額は,昭和48年178ha余・36億9,000万円余,同58年112ha余・62億6,000万円余と発展している。生産物は県直営の販売機構の中で全国的に販路を拡げつつある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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