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若一王子宮
【にゃくいちおうじぐう】


香美郡香我美町徳王子にある神社。旧県社。祭神は天照大神・池田親王・速玉男神・伊邪那美命・事解男神。若一王子権現社・下ノ王子とも称した(土佐州郡志・南路志)。徳王子西部,赤岡町との境付近に位置する。古来大忍(おおさと)郷8か村の鎮守であった。社伝によればもと天照大神を奉斎していたが,天平宝字8年に当地に配流された池田親王を薨去後に奉斎するようになったという。「南路志」所引の社記によると,村上永源上人が熊野より御厨子を運び,当地に勧請したという。同書所収の村上氏系図で栄元の注に「貞和年中土佐ニ下向,大忍ノ王子コンゲン別当」とあり,永源と栄元を同一人物とすると,貞和年中の勧請と推測されるが詳細は未詳。弘安元年12月9日の若王子宮別当職安堵状で僧禅源は父道舜の譲状により若王子別当職を安堵され(香宗我部家伝証文/県史古代中世),文保3年に子増源に別当職を譲っている(村上文書/蠧簡集)。永禄4年および文禄2年に長宗我部元親らが大檀主となって造替が行われ(棟札銘/県史考古資料・蠧簡集),元親より社領が寄進されているところから,長宗我部氏の保護を受けていたようである。天正15年の大忍荘地検帳には,王子村に「下ノ王子宮床」が30代で奉殿が3間四方,横殿は8間と記すほか,「下ノ王子修理田」「下ノ王子橋田」「下ノ王子別当分」などが苅屋村・相見村・王子村・徳善村に存在する。江戸期は,土佐2代藩主山内忠義以降歴代藩主の崇敬を受け,本社および拝殿の建築などがなされたという。大正12年県社に列格。例祭は11月8日で県無形民俗文化財の獅子舞が奉納され,1月5日と8日には三重の鏡餅5組を烏につかみとらせる烏食式が催される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7207409