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若一王子宮
【にゃくいちおうじぐう】


長岡郡本山町寺家の大宮にある神社。旧郷社。祭神は天照大神・伊邪那岐命・伊邪那美命。若王子・若宮王子・若一王子権現社とも称した(長徳寺文書・土佐州郡志)。地元では大宮様と通称する。寺家北西部の丘陵上に位置し,西方に長徳寺跡がある。平安期末,紀伊国熊野神社を勧請したと伝え,本山郷30か村の総鎮守であった。安元2年12月3日の土佐国庁在家役免状に「長徳寺并王子殿」とある王子殿のことと思われる(長徳寺文書/県史古代中世・木屑)。建武元年4月日の長徳寺院主宗賢書状には,創建以来長徳寺ともどもことのほか崇敬を受けてきたと記され(長徳寺文書/木屑),寛元2年8月3日に修理田が,宝治元年12月には「狩野壱所」が寄進されている(古文叢)。天正17年の本山郷地検帳の寺家村に「若王子宮床」25代とある。往時は社領570石を有し,官符・綸旨や源頼朝の文書,弘治2年8月10日銘の箱に納められた大般若経を所蔵していたという(土佐州郡志)。その後社領は80石に減ぜられた(南路志)。江戸期の社地25代,別当は田井村にある真言宗の称名山普門院観音寺(現廃寺)であった(同前)。明治維新後,郷社に列格。現社殿は明治8年の造立。例祭は4月10日の春祭と11月27日の秋祭。長徳寺跡の上方にある高野山真言宗の金剛寺(現本山町寺家)保存の木造千手観音像は平安後期の作品で,当社の本地仏といわれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7207411