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深淵神社
【ふかぶちじんじゃ】


香美郡野市町西野にある神社。延喜式内社。旧県社。祭神は水夜礼花命。十禅師・深淵権現とも呼ばれた(土佐州郡志・南路志)。物部川左岸,十善寺(十禅師)と通称される,深淵と西野の中間に位置し,北側に深淵遺跡がある。「和名抄」の香美郡深淵郷に鎮座していたと考えられる。水夜礼花命は「古事記」によると速須佐之男命の曽孫にあたる。孝安天皇31年に神勅を受けた村人が深淵郷で奉斎しはじめたという(皆山集)。社記によれば,昔は深淵村(現野市町深淵)に鎮座していたが,洪水のため流出し,寛文年間当地に遷座したという(南路志)。「延喜式」神名帳香美郡条に見える「深淵神社」に比定される。社伝では元慶3年に従五位上を授けられたとするが,未詳。至徳3年6月13日の藤原兼正去状には,深淵社仁王講田5反のうち2反5代が深淵郷字平松にあって(蠧簡集),鹿苑寺(現廃寺,土佐山田町加茂)住僧山本重成相伝の所領であった。鹿苑寺は当社の別当とも考えられる。江戸期の別当は法界山高照院大日寺(現野市町母代寺),社地は29代2歩であった(南路志・皆山集)。延宝7年12月銘と正徳3年銘の棟札で造替が知られるが,これらの棟札に「十善士権現」と記され,元禄14年銘の額には「十禅神権現」とある(皆山集)。明治12年県社に列格。例祭は10月30日。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7207879