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不破八幡宮
【ふばはちまんぐう】


中村市不破にある神社。旧県社。祭神は応神天皇・神功皇后・玉依姫命。四万十(しまんと)川(渡川)左岸の小高い丘の上に所在する。社伝では応仁2年応仁の乱を避けて当地に下向した一条教房(兼良の子)が,山城国石清水八幡宮を勧請して幡多荘の総鎮守としたという。現社殿は社蔵の棟札によると永禄元年から翌2年にかけて再建されたもので,三間社流造り,柿葺。正面3間に揚蔀戸を釣り込み,両側面と背面はすべて嵌板壁である。全体に極採色をほどこした都風の洗練された手法をもち,県内では長岡郡大豊(おおとよ)町の豊楽寺薬師堂に次ぐ古建築で,一条文化を伝える唯一の遺構である(国重文)。社殿の再建と同時期の永禄2年3月,康政から本郷中村で計3貫の社領が寄進されている(蠧簡集)。このように一条氏の崇敬は篤く,大祭には一条氏みずから参拝したという。天正18年の中村郷地検帳には「不破八幡」の神主の居屋敷のほか,「宮ノ下」「八幡ナミマツノ内桟敷所馬場懸テ」などのホノギが見えるが,宮床の記載はない。近世には不破村・宇山村に社領6反を有していた(南路志)。明治5年県社に列格。秋祭は10月10日(古くは8月15日)に行われる。一宮神社(現中村市初崎)に祀られている女神3体のうちから,クジで選ばれた1体が御座舟で四万十川を遡行,男神不破八幡宮の神輿がこれを迎え,御旅所で両神の神輿をつき合せる神事(俗に「神様の結婚式」という)がある。五穀豊穣を祈願する儀式である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7207972