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安田八幡宮
【やすだはちまんぐう】


安芸郡安田町安田にある神社。旧郷社。祭神は応神天皇・仲哀天皇・神功皇后。正八幡宮とも称した(南路志)。安田川河口右岸の山麓に位置し,付近を国道55号が通る。創祀は未詳。安田郷の安田・西島・唐浜・東島・中山・馬越の総鎮守であり,中世は安田荘の産土神として信仰されていた。延文2年の安田八幡宮大蔵経筥銘に「大願主惟宗朝臣三河守信綱」と記されている(蠧簡集)。また永正10年の安田八幡社大般若経箱書や,永正7年・同15年・天文13年・同16年・慶長3年などの棟札にはいずれも大檀那惟宗氏の名が見え(蠧簡集),安田荘の地頭であったと思われる惟宗(安田)氏の崇敬を受けていた。惟宗氏の家臣宮田氏が世襲した神主は,天正15年の安田荘地検帳によると25代の「神主ヤシキ」を有し,安田浜や城南村(現安田町東島)にかなりの土地を給されていた。江戸期は,藩主山内氏より社領25代が寄進されている(南路志)。神宝である大般若経541帖は県文化財。書風から,奈良期101帖,平安期40帖,鎌倉期381帖,室町期1帖,江戸期18帖に分類される。奥書によれば,最初の写経は神亀4年放光寺で行われ,その後,紛失欠巻の生じるごとに書き継がれたという(南路志)。放光寺は,弘安元年に書継ぎが行われた東島村法禅寺(現安田町東島)にも比定される。天正年間に,豊臣秀吉の小田原攻めの際に読誦されたといわれ(同前),その効験により病気・災害・出兵などにあたりしばしば読誦されたという。明治初期に郷社に列格,例祭は10月15日。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7208491