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横倉山県立自然公園
【よこぐらやまけんりつしぜんこうえん】


高岡郡越知(おち)町横倉山頂一帯と坂折川を挟んで南側山腹に位置する大樽の滝をあわせた県立自然公園。昭和31年1月指定。面積67ha。特色は地質と植物の分布にある。山容は石灰岩を主体とする突出状の残丘性山型であるが,山頂一帯は標高800m前後の平坦緩斜面が分布し,その山腹は急崖をなしている。その地質構造は複雑であり,同時に日本列島中では最も古い部類に入る岩石の分布がみられる。横倉山層と呼ばれている石灰岩からは古生代のシルル紀(約4億年前)のクサリサンゴ・ハチノスサンゴ・層孔虫・腕足類・三葉虫などの化石を産する。その分布地帯は特に県天然記念物に指定されている。一方,横倉山南斜面の一部には土佐桜と呼ばれている大理石も採石されている。飛地である大樽の滝一帯は三滝火成岩で構成されているが,それに接して分布する白亜系の岩石類との間で選択浸食があり,約50mの落差をもった滝が形成されている。横倉山の植生はその山頂付近に一部残存する原生林と登山道沿いの樹齢約500年といわれる巨杉列に代表される。隣接する佐川町出身の牧野富太郎をはじめ多くの植物学者によってわが国では比較的早くから調査研究の対象地域となり,ヨコグラノキ・ヨコグラツクバネ・ヨコグラブドウなどをはじめ,ラン・シダの類でも有名なものを産している。山頂付近一帯は平安末期から中世にかけての信仰遺跡地域としても知られている。




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「角川日本地名大辞典」
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