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怡土城跡
【いとじょうあと】


古代の山城。前原(まえばる)市高祖・大門・高来寺に所在。天平勝宝8年に大宰大弐の吉備真備を専知官とし,新羅征討の一拠点として築かれた。国史跡。城が築かれた高祖山は前原市と福岡市の境界に位置し,南側に日向峠があり,北側には大宰府の職制の1つである主船司(現在の周船寺)がある。真備が造東大寺長官として都に帰った後は佐伯今毛人が専知官となり,神護景雲2年に完成をみている。城跡には頂上から北西の尾根伝いに5か所,南には3か所の望楼跡がある。西側は山麓に接して土塁・石塁を巡らし,城門・水門を設けている。梯形の土塁線は全長約1.6kmに及び,高さは4~5m,大鳥居口小城戸や大門など重要な箇所は石垣を設けている。昭和52・53年に前原町教育委員会によって望楼跡の調査が一部実施され,2×3間の礎石建物が確認されている。出土遺物としては瓦・土器などが出土しているが,注目されるのは瓦の厚さが厚いことである。町教育委員会「史跡怡土城跡―保存管理計画策定報告書」(昭和54年)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7209219