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稲童
【いなどう】


旧国名:豊前

覗山南麓,周防(すおう)灘に面した台地に位置し,東西に長野間川,南端には音無川が流れる。地名の由来は,伝説によると,親孝行の稲童子が月の皎々と照る夜,近くの浜辺に舟を浮かべて釣りをしていたところ,突然大音響があり童子は海に投げ出された。そこに白髪の三神が現れて「汝の孝心に感じ入って,あの危急を救ったのだ」と言われたといい,童子の名をとって命名したという。当地は和布刈神社の神領であったという(安浦神社由緒記)。高畑古墳群・出屋遺跡・大山古墳・渡筑紫古墳群・豊後塚古墳群・稲童横穴群・塚原古墳群・九郎右ヱ門古墳・赤迫古墳群・石並園古墳群・石並古墳・石並古墳群がある。地内に石堂池・小迫池・小池など多くの池があるが,伝説によると筑前福井(現宝珠山村)の宝珠山城主の子,宝珠弾正高益は豊臣秀吉の九州仕置の時,秀吉に敵対し,当地で討死した。3人の子供のうち1人が当地に残り,稲童から松原にかけて48の池を掘り,農業用水にあてたので,農民から「宝珠様」と尊敬された。村人は宝珠様の恩義を忘れず碑を建て,今も毎年2月に宝珠祭を行っている。
稲童名(中世)】 鎌倉期~戦国期に見える名【みよう】の名。
稲童村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
稲童(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7209237