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犬鳴山
【いぬなきやま】


鞍手郡若宮町の西部,粕屋郡久山町との境界近くにある山。いんなき山ともいう。標高583.7m。山名は,山が険しく犬でさえ越えることができず鳴き叫んだためとも,律令期の稲置の境界があったので「いなき」が「いんなき」に転訛したともいう。山頂に城跡があることから熊ケ城ともいう。三郡山地の北部犬鳴山系の主峰の1つで,古生代の三郡変成岩類が分布。東側の犬鳴の谷には福岡藩の別館跡がある。これは幕末の有事に際し,藩の重臣加藤司書が藩主を避難させる目的で建設,司書の業績をしのんで司書橋の名も残る。この谷には藩の砂鉄製錬所や朝鮮人参の薬園もあった。県営の犬鳴ダム(昭和65年完成予定)の建設が進む。シダ類のツクシヤブソテツは,昭和12年にこの山中で中島一男により発見・命名された。登山路は,若宮町側の犬鳴峠近くの藤七谷を登るルートと,久山町猪野の轟林道をたどるコースがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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