大莞村
【おおいむら】

(近代)明治22年～昭和29年の三潴(みずま)郡の自治体名。筑後平野のほぼ中央，花宗川・山ノ井川の両下流に挟まれた平野部に位置する。両河川の沖積作用により形成された肥沃にして平坦な水田地帯である。荘園開発時代から近世初頭にかけて，この低湿地帯の用水体系として整備されたのがクリーク（濠）で，今日日本でも屈指の溝渠地帯となっている。大藪・高橋・奥牟田・三八松・筏溝の５か村が合併して成立。旧村名を継承した５大字を編成。村名はこの地方が大いに藺草を栽培し，莞筵を産出することにちなみ，莞は藺に通じる。役場は大藪に設置。合併時の戸数493・人口2,545，地積は田275町・畑４町・雑種地69町など計369町。明治24年の戸数501・人口2,736（男1,417・女1,319），寺院４，学校１，船８（徴発物件）。水田地帯で米・麦および藺草の生産が主であった。花莚・畳表などの藺草製品の特産地であった。明治25年大藪小学校が大莞尋常小学校と改称。同41年大莞郵便局を設置し，大正10年から電信電話事務取扱いを開始した（新考三潴郡誌）。大正４年有限責任大莞信用購買販売利用組合を設立し，貸金・貯金・購買販売・農業倉庫・精粉・精穀を事業とした（三潴郡誌）。同10年大莞実業補習学校創立。昭和22年大莞中学校開校。同27年大莞中学校・木佐木中学校を統合し木佐木村・大莞村組合立花宗中学校と改称，木佐木村八町牟田に移転。同30年１月１日大木町の一部となり，村制時の５大字は同町の大字として継承。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7209645