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大利村
【おおりむら】


旧国名:筑前

(中世)南北朝期~戦国期に見える村名。筑前国御笠郡のうち。御笠川流域の太宰府天満宮領。観応3年2月日の安楽寺領注進目録に「大利村内末次名,院常灯料所」「同村内灯油田,資時跡」と見え,当村の末次名が太宰府天満宮の常灯料所であり,当村内に同宮の灯油田があったことがわかる(太宰府天満宮文書/天満宮史料11)。戦国期,15世紀後半と思われる,信快法印が記した御灯明方目録案文によれば,太宰府天満宮の常修坊が神前において勤める灯明料所が当村にあった(太宰府神社文書/博多史料3)。元亀2年3月25日の高橋鎮種書状(横岳古文書/同前5)には「大利之村之内,御寺領分弐町之事」と見え,岩屋城主高橋鎮種により横岳崇福寺領大利村2町は来年より寺家進止とされたことが知られる。天正15年6月28日の安楽寺天満宮領筑前国之内一社知行分注文によれば,当村の3町が「毎日御仏餉料所」として太宰府天満宮の執行により知行され,また当村23町は常修坊の知行分であったことがわかる(大鳥居文書/同前8)。同年月日の安楽寺天満宮領坪付注文には「常修坊知行分 筑前国三笠郡内大利村 一所弐十四町 毎月神前御灯明料所」とあり,当村24町は同宮の毎月神前御灯明料所として常修坊により知行されていた(太宰府神社文書/同前8)。中世末期に上・下に分村したらしく,近世には上大利村・下大利村として存在する。大野城市上大利・下大利付近一帯に比定される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7209815