100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

金屋
【かなや】


旧国名:豊前

今川下流右岸に位置し,中央部を江尻川も流れる。地名は,かつて鋳物師が居住したことに由来するという(豊前遠鏡)。当地はもと今井に属していた。春日神社の沿革に「根津の海浜潮干潟数百町歩を開墾して耕地となし,大に農業を村民に奨励せし……承和元年社殿一宇建立」とあり,地内西南部を東西に走る県道の北側は,かつて海浜であったが,中世以降埋立て・干拓が繰り返された。小字名も辰のほか,虎開・沖手開・沖ノ坪・沖下り口・横浜・大堤・井手の上・上川田・西川田・東川田・石川・東割・北割など新地埋立てにちなむ地名が多い。応永28年に鋳造された彦山霊山寺の梵鐘(現行橋市今井浄喜寺所蔵,県文化財)には「鋳物師大工豊前国今居住 左衛門尉藤原安氏作」と刻銘があり,永享12年鋳造の宗像(むなかた)郡津屋崎町縫殿宮の梵鐘にも「豊前州今井庄東金屋大工藤原吉安」とある(日本古鐘銘集成)。これらの鐘銘から当地が鋳物師大工らの居住地であったことが立証される。細川忠興が豊前国に入り,小倉に城を築き城下町の一画に鋳物師町をつくってから,国中の鋳物師大工は同町に移住した。
金屋村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
金屋(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7210140