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可也山
【かやさん】


糸島郡志摩町にある山。御床山・糸島富士・小富士・筑紫富士などともいう。標高365.1m。東西約4km,南北約2kmの独立峰で,大部分が花崗閃緑岩からなるが,山頂部は火山活動で噴出した玄武岩により台地状をなす。山頂近くには俗にワシ穴と呼ばれる火山砕屑岩に生成した風穴がある。「万葉集」に巻15「草枕旅を苦しみ恋ひ居れば可也の山辺にさ男鹿鳴くも」と詠まれるように(古典文学大系),古くから知られた山である。可也山の名は朝鮮半島の伽耶山に由来するとの説もある。東方から望んだ山容は富士山型をなし,室町後期の連歌師宗祇は,箱崎の浜から眺めて「夕日のはるかにかかる方に富士に似たる山あり,御床といふ山なり」と記す。南・北から見る可也山は台状で,北麓の親山と南麓の小富士梅林からの急坂な登路がある。「続風土記」には「俗には親山といへども実は可也山なり」とあるが,可也山を若い頃にはオヤマンと呼んだ,という土地の古老もいる。山頂には主神に神武天皇を祀った可也神社が鎮座する。芥屋大門(けやのおおと)とともに玄海国定公園に含まれ,山頂からの眺望は糸島地方の全域のほか,東に博多湾,西に唐津湾から壱岐島までを望む。東麓にはバンガローやキャンプ場のある観光農園が昭和55年に開園,農園から山頂東端までリフトが通じていたが,同62年に廃園し,跡地に創価学会の福岡研修道場が完工。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7210423