100辞書・辞典一括検索

JLogos

9

川筋
【かわすじ】


遠賀(おんが)川流域を指す地域名。筑豊地方の別称でもある。川筋とは,もともと川の流路や川岸に沿った地域を指すが,筑豊炭田を中心とした遠賀川流域では,川筋という言葉は単なる地理的意味ではなく,川舟船頭や炭鉱夫たちによって育まれた気質が投影されている。鉄道が発達するまで石炭の輸送は,かわひらた(川艜)とか五平太舟と呼ばれる川舟に頼り,遠賀川は重要な輸送路として,川筋という言葉を生んだ。明治中期の最盛期には川艜は5,000隻を超え,帆まかせ,風まかせの川舟の仕事は,敏速な判断,たくましい腕力と度胸に一切を任せる川舟船頭の気質を生み,また,地底では一寸先は闇の採炭生活を送る炭鉱夫に受け継がれて直情径行の川筋気質が生まれた。この気質は,石炭産業の発展とともに筑豊地方の大きな特色となり,石炭産業の衰退後も依然強く残っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7210471