100辞書・辞典一括検索

JLogos

10

木山
【きやま】


旧国名:豊前

英彦(ひこ)山山地から北流する今川の中流左岸,御所ケ岳の南麓に位置する。地名の由来は「此西郷ノ里中ニテ木ノ生繁リタル屋上ニ寄添タル人家ナレバ,自然カク名負シ也」とあるが(京都郡誌),背後の御所ケ岳は神籠石の石塁がその中腹を取りまく山であるので,城山が木山に転じたともみられる。山麓は姫神前方後円墳をはじめ円墳数十基がある古墳地帯。地内から馬具類や石包丁・鉄矛などが発見された(福岡市立歴史資料館研究報告)。字道町は奈良期の伽藍址で,塔心礎の一部が田圃の端に残留,同地から礎石の半分が村中に運ばれ,今は塞三柱大神として祀られている。伽藍址からは経蔵心礎らしい石(後生車の称がある)や奈良期の古瓦が多数出土した。字福六にはこれらの瓦を焼いた瓦窯が発見されている。また,「皇妃墓……封土平坦にして,境内大凡二坪アリ。村ノ西方御所ケ谷ノ南麓ニシテ五輪ノ塔アリ」などとある(京都郡誌)。字宮ノ本の生立八幡は西郷谷の総鎮守で,その祭は犀川(さいがわ)夜市と呼ばれ,社前の今川河畔は男女交歓の場となったという。俚謡に「音ニ聞コエタ犀川夜市様ト手引合テ参リタイ」「犀川夜市ノ石枕一夜抱カレテ夜ガアケル」などがある。
木山村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
木山(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7210699