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顕孝寺
【けんこうじ】


福岡市東区多々良1丁目にある寺。浄土宗。神感山大悲院と号す。本尊は釈迦如来。前身は鎌倉末期に豊後守護大友貞宗が闡提正具を開山として建立した臨済宗寺院である(本朝高僧伝/大日本仏教全書102)。当時この付近は日本と元を往来する僧侶・商人でにぎわっており,貞宗は当寺で円覚経を開版している(東海一漚集)。元弘2年,元から帰国した中巌円月の止住や,建武2年の無隠元晦の入寺など名僧の入寺が相次いだ。往時には本堂・客殿・鐘楼・厨・輪蔵等を有し,塔頭10区・末寺14か寺,寺領は粕屋郡・豊後国・筑後国にも及んだという(続風土記)。文明10年大内政弘の入国時には,祝いのため銅銭200疋を進上している(正任記)。天正年間の末に兵火にかかり,以後衰退していたのを,慶長9年に黒田長政の家臣大音彦左衛門重泰が建立し,開山は往蓮社正誉見貞(浄土宗寺院由緒書/増上寺史料集)。見貞が禅寺の寺名のまま再興し,現在に至っている。付近からは対外交渉の事実を示す中国製陶磁器の出土もみられる。行事は御忌会(1月25日),勅謚記念会(2月27日),鎮西忌(2月29日),十夜法会(11月25日)など。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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