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薦野郷
【こもののごう】


旧国名:筑後

(古代)平安期に見える郷名。筑後国生葉(いくは)郡のうち。「和名抄」の生葉郡七郷のうちに見えず。「和名抄」に見える大石・山北両郷が,11世紀初め頃に観世音寺の封領(寺領)となる間,薦野氏の開発を中心に形成されたものと考えられる。康治3年正月11日,観世音寺領大石封司藤井延重・山北封司平宗末らは,肥前々司薦野資綱が伝領の「生葉郡薦野郷公験」をもって,鳥羽后美福門院得子の御荘に立券した範囲だとして,観世音寺領大野・袋野を狩庭とし放火狼藉をなすことを訴えている。観世音寺側は大野について,「往古寺領中心也」とまで主張している(東大寺文書4‐42・46/平遺2523)。資綱は当時の府目代で薦野郷の郷司であったと考えられるが,彼の行動は,薦野郷全体を皇后宮職の荘園化することで,一円的領域支配権を得ようとするものであった。中世の隈上荘と関係するか(吉井町誌)。現在の浮羽町の山北の西方,隈上川の周辺に比定されるかと考えられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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