地蔵峠
【じぞうとうげ】

遠賀(おんが)郡岡垣町高倉と宗像(むなかた)市山田を結ぶ峠。古くは百合野峰といった。標高約160m。北の孔大寺山と南の金山との鞍部を東西に越える。峠名は，西麓の山田にある曹洞宗増福院に安置される地蔵にちなむ。なお，百合野峰は，岡垣町側の集落名による。増福院の地蔵は，山田の地蔵として親しまれ，「続風土記」に「増福院にむかしより毘沙門あり。又近世宗像大宮司正氏の後室，並其女氏男の墓あり。母子の墓一なり。又其侍女四人の墓もあり。皆大宮司の臣のため殺さる。後室の怨霊祟りあるによりて，地蔵菩薩と崇め，像を作り，此寺を立て安置す」とある。安産や厄除け祈願の信仰が篤く，４月と７月の24・25日に地蔵祭が行われ，多くの参詣者を集める。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7211506