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寺中町
【じちゅうまち】


旧国名:筑前

(近世~近代)江戸期~昭和41年の町名。江戸期は博多の1町。御笠川下流左岸に位置する。臨済宗聖福寺の東北側の境内にできた町。聖福寺の開祖栄西禅師が唐土より連れ帰った者に,阿弥陀経を伝え,僧衣を授け,寺地を与えた。その子孫たちが歌舞を業とする倡優(わざおぎ)となった。そのかたわら茶筌などを造って売ったという(続風土記)。寛文年間,聖福寺の塔頭禅居庵の辺から現在地へ移住した。寺中役者と呼ばれ,歌舞伎役者として巡演した。祇園会祭礼には,御救い芝居として,芝居の興行権を許された(博多津要録)。一帯は,博多芸能の発祥地。江戸期は流には属さず,夫役・諸税も免除されたので,町の戸数などの記録はない。明治12年の戸数15・人数100,民業は工4戸・商1戸・雑業10戸(福岡区地誌)。明治11年福岡区,同22年福岡市に所属。同年の戸数24・人口110(福岡市誌)。明治期~大正期まで,芸人の町で浪曲師などが居住していたが,昭和初期には,中央の芸人達におされて四散した。昭和20年の戦災から免れ,昔の面影を残している。同41年上呉服町・御供所町となる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7211514