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朝日寺
【ちょうにちじ】


久留米市大善寺町夜明にある寺。臨済宗妙心寺派。山号は夜明山。本尊は地蔵菩薩。寛元3年,聖一国師の法弟,神子禅師栄尊を開山とする。栄尊の父は平康頼,母は三潴荘住人藤吉種継の娘と伝え,7歳で筑後国柳坂永勝寺元琳和尚のもとで出家し,16歳頃から諸方に修学し,嘉禎元年,聖一国師と渡宋し径山の無準師範に参じた。帰国後,肥前の万寿寺・筑前薦福寺・豊前の円通寺・妙楽寺などの開山に尽力している(神子禅師栄尊大和尚年譜・神子禅子行実/続群9上)。朝日寺の歴代は栄尊から近世の中興,虎渓宗乙まで不明な点が多い。応永25年の「報恩寺々領坪付」(隈文書)に朝日寺の名称がみえる程度で,室町・戦国期の史料は極めて少ない。慶長9年,筑後国主田中吉政が寺領4石3斗を付しており,この寄進は有馬家にもうけつがれる。寛文10年頃に梅林寺僧虎渓宗乙が中興し,この頃,五山派寺院から臨済宗妙心寺派となっている。寺伝によれば,末寺9か寺,塔頭5院を有したというが,近世には,末寺は日輪寺(京町)のみとなっている。境内の観音堂には不空羂索観音を中心に,左に十一面観音,右に聖観音を安置するが,この3像は藤原期~鎌倉期の作風をみせる。「栄尊禅師年譜(延宝8年)」,「夜明山朝日寺記文(元禄8年)」などには,同所に朝日寺開山以前から不空羂索観音を祀る堂宇があったといい,朝日寺はその堂宇の再興という形で出発した可能性もある。当寺の本堂安置の木像神子栄尊座像は県文化財。筑後三十三か所観音霊場の第20番札所。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7212753