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名島
【なじま】


旧国名:筑前

多々良川河口右岸に位置する。地名の由来は,神功皇后が当地黒崎浦より三韓へ出船する時軍卒の名を呼んだことから名島と称するようになったと伝える(地理全誌)。西の海浜にある黒崎は,古くは黒津浦と称し漁人の居家があったというが,江戸期には人家はなく松林であったという(続風土記付録)。西方博多湾に面した小高い所に名島神社と名島城跡がある。名島城跡の北側は香椎潟に面し,西は桂潟から海の中道,南は地蔵松原・箱崎松原を望む景勝地であったが,明治期以降の博多湾埋立てにより昔日の景観は消えつつある。干潮時は徒歩で渡ったという妙見島も埋立てにより陸つづきとなった。名島神社下の海辺に名島の檣石(ほばしらいし)(国天然記念物)がある。これは最大直径80cm,10個にわかれた珪化木。伝説によると,神功皇后が三韓より当地に帰陣し,その時乗船してきた船の帆柱を当地に捨て置いたのが石と化したという。また妙見島は神功皇后が朝鮮より帰陣の時兵器を納めたと伝え,風波の激しい時には砂中から鉾や矢根などが出土したという(地理全誌)。このほか神功皇后の伝承をもつ神功が峰や砧板(まないた)瀬・椽石など古跡が多い。また極楽寺跡・徳正寺跡・観音寺跡・仏花寺跡・正竜寺跡・神宮寺跡など廃寺跡も多い(同前)。
名島(中世)】 室町期から見える地名。
名島村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
名島(近代)】 明治22年~昭和60年の大字名。
名島(近代)】 昭和55年~現在の福岡市東区の町名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7213406