西小田村
【にしおだむら】

旧国名:筑後

(近世)江戸期～明治９年の村名。筑後国竹野郡のうち。耳納(みのう)山地中央部の北方，筑後川中流左岸の微高地上に位置する。中世には，東小田村・西小田村とあわせて小田と称された。はじめ柳川藩領（田中氏），元和６年からは久留米藩領。延宝６年には有馬大蔵が210石を知行（所付扣），寛保３年には岸藤太夫・山村典膳ほか２名で240石を相給知行（給知高帳）。村高は，「元禄国絵図」153石余，「在方諸覚書」の古高210石，「天保郷帳」250石余，「旧高旧領」381石余。宝暦年間頃の役高は649石，久留米より４里半（在方諸覚書）。寛政元年撫７斗，人数310，馬39（筑後上三郡取調手鑑）。嘉永元年頃の作柄は「田作凡そ７俵，粟凡そ６俵，尤西小田村の義は村立宜敷く，組中ニても余程宜敷き村柄に御座候」（廻村書留）。文化４年の耕地は田16町余・畑田20町余・畑20町余（農政農民史料集）。水利は大石・長野水道。筑後川対岸の筑前国大庭村に接して110間に12間の飛地があった（正保４年道路帳）。「啓忘録抜萃」の大川筋渕名に，そり摺瀬・早田瀬・太窪瀬・石場瀬・中瀬があげられている。また西小田大刎は，「川上洪水の節，行徳中曽を抱候様の都合ニ相成り，川下は立野・恵利両村分を防ぎ候刎」であった（廻村書留）。宝暦４年の大一揆では，七郡払・五里四方村払・二里四方村払・過料10貫文にそれぞれ１名ずつの処罰者を出した。天保３年の亀王組一揆では，庄屋宅が打ち崩された（久留米藩百姓一揆ニ関スル調査）。氏神を祀る天神，薬師堂，地蔵堂のほかに，榎を神木とするはいたか天神がある（寛延記）。明治９年野田村の一部となる。現在の田主丸町野田の一部にあたる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7213488