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如法寺
【ねほうじ】


豊前市山内にある寺。黄檗宗。山号は常在山。本尊は如意輪観音。求菩提山の東方約8kmに位置し,もと求菩提山六峰の1つ。開山を行基(如法寺縁起)とも行善和尚(求菩提山縁起)ともいい,上宮に白山権現(本地不動明王)を祀る。史料上の初見は,求菩提山普賢窟から出土した康治元年在銘の国宝銅板法華経33枚の中に執筆僧厳尊の名が見え,「彦山流記」には「如法寺住僧円城房厳尊」とある。如法寺が豊前修験道の寺院として12世紀中葉に存在していたことを示している。「宇都宮略系図」信房の項には,文治2年宇都宮信房が開基したように記すが,おそらくは文治元年入国後の再建を意味していよう。以後宇都宮氏とのかかわりが密になり,略系図によれば一門から座主が出て,信房の曽孫信政は如法寺の姓を名乗っている。永徳2年に梵鐘を鋳造した(太宰管内志)。縁起では鎌倉末期の嘉暦年間に法印義慶が天台宗の寺院として仏殿・講堂・経堂等を整備し,山門外に16院を擁して寺運の隆盛をみたが,天正年間の兵乱で焼失。延宝7年雲老人(広寿山福聚寺法雲和尚)が再建,以後禅宗に転じたとある。天正12年高橋元種が寺領30町を寄進している。現在山門に立つ仁王像(木造金剛力士像)は平安末期の作風を遺し,境内に散乱する石塔群は鎌倉末期・南北朝期のものを含めて145基でともに県文化財。もと当寺にあった両界曼荼羅は奈良国立博物館に収蔵されている。境内は豊前市教育委員会の数次にわたる発掘調査で伽藍構造などの解明が進んでおり,県史跡に指定されている。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7213686