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梅岳寺
【ばいがくじ】


粕屋郡新宮町立花口にある寺。曹洞宗。山号は立花山。本尊は聖観世音菩薩。立花山(367.1m)の北山麓に位置し,前身は当地の立花山城を本拠とした立花氏が元中2年に緒庵彭序を開山として開いた花谷山神宮寺と伝える。元亀2年に豊後の大友氏の部将である戸次鑑連(立花道雪)が立花氏の名跡を継ぎ,立花山城に入った。天正3年に彼の母が没すると,当寺に埋葬し,その法名にちなんで寺名を梅岳寺養孝院と改め,自家の菩提寺とした。同13年には道雪が筑後高良山(久留米市)で陣没し,彼もまたここに葬られた。道雪は当寺を山上に改立する意志を有していたといわれるが,実現しなかった。同15年には彼の養嗣子宗茂が豊臣秀吉により筑後柳川(柳川市)に封じられ,当寺の名跡を同地に移し,新たに菩提寺として道雪の法名にちなむ福厳(ふくごん)寺を創建した。さらに関ケ原の戦後,西軍に属した宗茂が改易され,元和6年にようやく旧領をほぼ回復するなどのこともあり,当寺は次第に衰微していった。しかし元禄年間に,道雪の曾孫で,福岡藩主黒田綱政夫人の立花氏が諸堂宇を造営し,加賀(石川県)の大乗寺から東林卍山(とうりんまんざん)を請じて寺を再興させ,以後は曹洞宗の寺院として現在に至っている。境内には道雪と母の墓碑が残されているほか,本堂や地蔵堂などが備わる。什宝としては,道雪の木造像などの彫刻や中興開山である卍山の頂相・経典・関係古文書などを所蔵している。また,立花山は特別天然記念物のクスノキ原始林でも知られている。境内は県史跡。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7213741