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箱崎浜
【はこざきはま】


福岡市東区の馬出・箱崎地区にある海岸。古くは箱崎松原・千代松原といった。「石堂の橋きはより,箱崎八幡の西の境まで十五町十一間,是今此松原の東西の長さなり」と「続風土記」にあるように,白良浜と呼ばれた博多から箱崎までの海岸一帯には松原が分布。筥崎宮の神木として伐採が堅く禁じられ,「其法をおかすものは,罪科六親に懸らるへしとの,古き文書有」(同前)というほど厳格に維持されてきた。天正15年秀吉は島津氏攻略の帰途,筥崎宮を本陣として博多に逗留,この松原でたびたび茶会を催し,千利休は松の枝に釜を釣り,松葉をたいて秀吉に茶を奉ったという。明治期に松原の西側には東公園,福岡医科大学病院(元九州大学病院)が開設され,また東には水族館・潮湯泡洋閣が設立されるなど松林の一部伐採が行われた。大正9~10年のマツクイムシの大発生で松原は壊滅。沿岸一帯は海苔養殖や沿岸漁業が盛んで,昭和40年代初頭頃まで,年間2万t,約4億円を水揚げし,海岸には海苔の乾燥場が軒を連ねた。昭和期に入り埋立てが進み,昭和6年には現国道3号が開通,昭和30年代にはその北側に東浜埠頭,昭和50年代には箱崎埠頭などが建設され,港湾・流通・製造などの諸施設も立地,様相は一変した。筥崎宮前の海岸は一部山笠のお汐井採りのため昔のままの砂浜が残され,汐井浜という。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7213786