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豊前国
【ぶぜんのくに】


旧国名:豊前

旧国名。西海道の一つ。九州の東北部に位置し,現在の福岡県の北九州市門司・小倉2区(旧企救(きく)郡),行橋・豊前・田川3市,京都(みやこ)・築上・田川3郡と大分県の中津・宇佐2市,下毛・宇佐2郡の地域にあたる。東は豊後国国東(くにさき)・速見両郡,西は筑前国遠賀(おんが)・鞍手両郡,南は豊後国大分・玖珠(くす)・日田3郡に接し,東北は関門海峡・周防(すおう)灘に臨んでいる。地勢は,北から南への福智山地で筑前との境いをなし,東西に走る英彦(ひこ)山山地で福岡県・大分県に分かれている。「日本書紀」景行天皇12年9月条に「豊前国長狭県」とあり,「和名抄」は豊前を「止与久爾乃美知乃久知」と訓じており,従来,豊国から豊前国・豊後国が分かれたと説かれているが「豊国」の訓み・語義・領域については諸説がある(大分県史)。豊後国の史料上の初見は「続日本紀」文武2年9月乙酉条,豊前国のそれは大宝2年の戸籍で,他国の例なども参照して,両国の分割すなわち豊前国の成立は持統朝の頃であろう。
(古代)国の格付けとしては,奈良期後半には上国に定着している。
(中世)豊前の建久図田帳断簡によると,本図田13,300町で,そのうち神社領5,141町・仏寺領3,809町・権門領3,664町・府領280町・公領1,406町とある。
(近世)天正15年,九州を平定した豊臣秀吉は九州の知行割りを行い,豊前は,京都・仲津・築上・上毛・下毛・宇佐の各郡が黒田孝高に与えられ,企救・田川両郡が毛利勝信に与えられた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7214440