100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

堀川
【ほりかわ】


北九州市八幡西区楠橋の寿命(じめ)に発し,洞海湾に流入する運河。大膳堀ともいう。遠賀(おんが)川下流右岸を,中間市唐戸・岩瀬,遠賀郡水巻町吉田,八幡西区折尾地区を経て洞海湾に至る。延長10.1km。遠賀川下流域の遠賀平野の洪水調節用排水路として,福岡藩の家老栗山大膳が元和7年に着工,初代藩主黒田長政の死去で128年間工事が中断し,宝暦元年,6代藩主継高のとき工事を再開,難工事を経て同12年に完成。文化元年には中間唐戸水門から寿命唐戸水門まで水路を延長。運河開通後は,水巻町の二(ふた)・伊佐座・吉田などに水田が開かれた。また藩米輸送に利用され,大正期までは石炭輸送にも貢献し,鉄道が開通する明治中期までは石炭輸送のかわひらた(川艜)で埋まったという。明治24年に筑豊興業鉄道の若松~直方間が開通,同年の川艜による送炭量は約70万t(鉄道輸送約1.8万t)。明治27年の筑豊5郡の川艜は6,999隻(遠賀3,929・鞍手830・嘉麻877・穂波454・田川909)で,うち3間艜2,039隻,4間艜4,960隻,利用炭鉱110坑,川艜での送炭は約82万t(鉄道輸送約100万t)となったが,鉄道輸送に主役を奪われ,川艜は減少,昭和14年には完全に姿を消した。なお,川艜は折尾高校と芦屋町歴史資料館に保存される。現在,この運河は輸送上の役割は全くなく,工業用水として利用されるほか,洪水時の放水路としての役割も果たす。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7214614