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宗像東郷
【むなかたとうごう】


旧国名:筑前

(中世)鎌倉期~室町期に見える郷名。筑前国宗像郡のうち。建保5年6月の大蔵季秀譲状に「筑前国宗形東郷内野坂上今犬」とある(宗像神社文書/鎌遺2322)。貞永元年7月26日には,「宗像社修理料筑前国東郷内曲村四十町事」をめぐる社家と地頭との相論に関する関東下知状が出されており,これによれば社家方が往代神領が東郷に150町あったとのべていること,地頭方は国衙領であった東郷が,地頭季時法師の親父親能入道の時に,米50石・銭5貫文で地頭請所となったと主張していることがわかる。また,東郷が現在の野坂・曲を含んでいた時期があったこともわかる(同前/同前4348)。次に,応安2年8月18日の千葉胤連譲状には「筑前国宗像東郷内曲村地頭職并公文職」とある(宗像神社文書/宗像郡誌中巻)。室町期に入って,応安神事次第の永享9年3月7日の追記部分では,「白馬出郷之次第」の中に東郷が見え,9月9日の長日立用米事では「東郷一石六斗八升,内深田方五斗六升,泉弥八二斗八升,力丸兵庫八斗四升」とあって,長日立用米1石6斗8升を進めていることが知られる(神道大系神社編宗像),このころから限定された地域をさすようになった(江戸期の東郷村)。現在の宗像市東郷・曲・野坂を中心とする地域を含むと考えられるが,正確な郷域は未詳。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7215165