安富領
【やすとみのりょう】

旧国名:筑前

(古代)平安末期に見える領名。筑前国志摩郡のうち。「吾妻鏡」元暦元年４月６日条によれば，「安富領〈筑前〉」は平氏滅亡後に収公された平家没官領の１つであり，同年４月に源頼朝に与えられた。頼朝は，平治の乱のおりに平清盛に頼朝の助命嘆願をした池禅尼（平頼盛の母）の恩徳に報いるため平頼盛家領34か所を返付し，安堵したため，安富領も再び平頼盛領に帰したのである。なお，天正19年３月23日の志摩郡田畠検地帳（朱雀文書／県史資料10）に「安富名」が見え，「田数五拾五町九段百歩」と記されている。現在の志摩町芥屋(けや)一帯に比定される。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7215348