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山国川
【やまくにがわ】


大分県に発し,築上郡吉富町と大分県中津市の境界を流れる1級河川。古くは御木(みけ)川とも呼ばれ,高瀬川・広津川の部分称もあった。流長約52km(うち県内流長15.8km),流域面積540km(^2)。山国川水系の主流。大分県山国町槻木の野峠に端を発し,英彦山山地の南東斜面の水を集め,旧耶馬溶岩の噴出地と推定される中摩殿畑(なかまどんのはた)山と樋桶(ひおけ)山の山塊を南に迂回し,上志川・金吉川・樋山路(ひやまじ)川・山移(やまうつり)川・津民(つたみ)川・跡田川・友枝川など大小約20の支流を合わせ北東流し,ゆるやかな三角州状の沖代(おきだい)平野(中津平野の中央部)を形成し,大分県と築上郡との境界をなして,大平村・新吉富村を経て吉富町高浜と大分県中津市小祝との間で周防灘に注ぐ。上・中流域の大分県の名勝地耶馬渓は,変朽安山岩の上に堆積した成層集塊岩とその上に広がる新耶馬溶岩・旧耶馬溶岩の台地を刻んでできた峡谷で,岩壁や石柱の奇観と赤松とが調和し,一帯は耶馬日田英彦山国定公園に含まれる。耶馬渓は頼山陽の紹介で有名になった。水利の現況は灌漑用水が大部分で,自然流入の取水堰だけでも約400か所あり,中でも荒瀬井手や大井手は取水規模が大きい。河口部の吉富町小犬丸に八幡古表神社があり,社宝の木造女神騎牛像(伝神功皇后御像)は国重文。同町の高浜地区は河口を利用した漁港で,底引き網漁業やノリの養殖と採貝を主体とする。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7215451