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山伏谷
【やまふしだに】


飯塚市と粕屋郡篠栗(ささぐり)町の境界付近の構造谷。北の犬鳴山地と南の三郡山地との境界をなす多々良川の源流部にあたり,福岡市方面と筑豊地区とを結ぶ国道201号が通る交通渋滞の激しい峠であったが,昭和60年に八木山バイパスが開通し,路面凍結による交通の難所から解放された。この峠は,古くは山賊が横行して多数の旅人を襲ったという。天文12年,宗像氏貞の後室増福院供養祈祷のため,彦山山伏に献上金が託された。しかし一行は,これをねらった山賊に襲われ,力つきた山伏が,宗像公の献上金,南無彦山大権現受け取らせ給え,と背負った黄金を岩の上からまき散らすと,黄金は木の葉のように彦山へ飛んで行ったという。その岩を黄金撒岩と称し,彦山山伏の峰入り修行の道場と定め,役の行者を祀った。このことから一帯を行ノ原(郷ノ原)と呼び,荒行に倒れた山伏の塚が山上に散在していたので山伏谷と呼ぶようになったと伝える。峠の頂上に近い,篠栗町篠栗の郷ノ原の集落は,寛文年中に新田開発で誕生。八木山へ登る山伏谷の急坂は,通称七曲りと称する。明治22年,道路改修に際して桜並木が作られ,新吉野公園と称し,公園内には篠栗新四国霊場の札所が点在する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7215500