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竜宮寺
【りゅうぐうじ】


福岡市博多区冷泉町にある寺。浄土宗。山号は冷泉山。開山は谷阿上人。開基の年は不詳。この寺ははじめ袖湊の海辺にあって浮御堂と呼ばれていた。寺伝によれば貞応元年,海中より人魚が捕獲され,国家長久の瑞兆として勅使冷泉中納言が下向し人魚は当寺に埋められたが,その後寺名を竜宮寺に改めたという(続風土記,浄土宗寺院由緒書/増上寺史料集)。文明12年連歌師宗祇は西国に下り,博多にしばらく滞在したが,当寺にも寄寓し博多百韻連歌の興行がなされたことは著名(筑紫道記/群書18)。当寺での盛んな文芸活動の模様は,宗祇以前に正広が詠歌を行い(松下集),また文禄3年には薩摩の連歌師高城珠長の連歌興行の事実(覇家台)などからもうかがうことができる。慶長5年本誉上人が入寺し,現在地へ移転・再興して中興開山となった。享保17年火災により本堂・庫裏ともに全焼し,冷泉中納言筆の額および宗祇百韻連歌なども焼失した(博多津要録)。行事は開祖法然上人忌(4月20日),施餓鬼会(8月21日),十夜法要(10月10日)など。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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