100辞書・辞典一括検索

JLogos

9

若杉山
【わかすぎやま】


粕屋郡の篠栗(ささぐり)町と須恵町の境界にある山。標高681m。山名の由来として,神功皇后が香椎宮(福岡市東区)で西征の戦勝祈願を行い,神木の綾杉の枝を鎧にさして出征。神霊の加護により無事帰還した時,鎧の綾杉がまだ青々としていたので,太祖神社の霊地にこれを植えたことから,分け杉が若杉に転訛したとの伝説が残る。山中には杉が多いが,第2次大戦中に杉を軍需材として伐採したので老杉は減少したが,中腹から上には老樹が多く分布する。樹陰にはシダ類などの隠花植物の種類が多い。この山は,山伏の修験霊場としても広く知られる。弘法大師(空海)をはじめ諸宗の僧が入山し,法修を行ったと伝え8世紀には,山中の左谷と右谷に僧坊300坊が建立され盛行を極めたが,天正10年代に僧坊が相争い,すべてが灰燼に帰したという。麓から中腹にかけては,篠栗新四国八十八か所霊場の札所が随所にあり,春と秋には信仰を兼ねたハイキングで大盛況となる。西側中腹の若杉楽園,北側の荒田高原には旅館もあり,夏にはキャンプ村も開かれる。山頂には,古くから太祖権現社と称された太祖神社の祠が建ち,弘法大師が修行したと伝える札所参りの奥院もある。北東の最高点には,九州電力の無線中継所があり,車道も同所まで通じる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7215735