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岩屋山
【いわやさん】


鹿島市能古見(のこみ)町にある山。標高240m。多良(たら)火山の寄生火山の1つ,浄土山の北にある一小丘である。奇岩奇勝に富む,伝承の多い霊山で「肥前古跡縁起」に「岩屋の大悲観音菩薩は,覚鑁上人開基,すなわち上人の自作なり。その上に一つの池あり,霊水常に湧出す。わづか三尺四方にしてさのみ深からず,覚鑁この水を取って,一字一石の法華経を書写し,山上に納め給ふ。今も利生あれば,この一字一石を見付けはべりぬ」とある。また「岩屋物語」によれば,真言二世の祖と仰がれる竜猛菩薩がわが国に渡海し,肥前国藤津郡能古見庄の窟に現れ,衆生を救済し,岩の中に如来石があるのを本尊として拝し,この山を竜猛山と号した。弘法大師が唐へ渡るため平戸(現在の長崎県平戸市)にとどまっているとき当地を訪れ,岩屋にのぼり,洞窟を拝し,17日の間仏法を修行した。天仁2年覚鑁上人が岩屋を掘って,千手観音を製作・安置し,それより岩屋山とも号するようになったという。岩屋観音の境内から大正8年に経塚が発見された。山麓付近一帯はミカン栽培の盛んな地域である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216064