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嬉野温泉
【うれしのおんせん】


藤津郡嬉野町にある温泉。武雄(たけお)温泉とともに佐賀県を代表する温泉で,昭和55年12月末現在,県内に温泉利用施設が152あり,そのうち91(武雄は18)を占める。「肥前国風土記」藤津郡条に「塩田川に滝があり,その東辺に温泉あり」と記されており,滝は下宿湯野田の滝(轟の滝という),温泉は嬉野温泉を指すことは間違いなく,歴史の古い温泉である。藩政期,嬉野は蓮池(はすのいけ)藩領で温泉は藩営であった。元禄4年ケンペルの「江戸参府紀行」に嬉野温泉について「その場所は竹の生垣できれいに囲まれ,見張所や別荘もある。……花柳病・疥癬・四肢病・麻痺を治する効力ありとして有名なり」とあり,また文化4年シーボルトの「江戸参府紀行」に「この温泉は臭いは弱く硫黄を含んでいる。味はやや甘味があり,比重は0.995である」と記されている。藩政期には,御前湯・侍湯・町人湯の別があり,広く利用された。かつて塩田(しおた)川床の随所,左岸に温泉の自然湧出がみられたが,西北部に採掘が増加し,揚湯量が増大するにつれて温泉水位が低下し,昭和32年ごろにはごくわずかとなり,同37年7月の水害を境にして湧出は完全に停止した。翌年から温泉水位および泉温の連続観測を続けている。泉質はナトリウム炭酸水素塩,塩化物泉酸性,鉄(Ⅱ)硫化塩泉で,泉温は47.0~95.0℃。嬉野町の第3次産業人口は51%で,そのうちサービス業が26%と高いのも観光地であることを物語る。年間70万人前後の入浴客があり,四季を通じてにぎわっている。なお,旅館街の背後に迫る丘陵地には茶園が広がり,シーボルトも「嬉野の茶園は全国的に有名で優良な緑茶を生産する」と記している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216134